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第14話 動物園 Side心輝

結局あの日は動物園に行く話が終わってから心翔の部屋にいったんだよな。 今日は、朝から直の最寄り駅まで迎えに来たが待ち合わせより20分も早く着いてしまった。 直を待っている時間もまた心地が良いから苦では無い。 「心輝。早いねビックリしたよ」 後ろから俺の服を引っ張り笑いかけてくる直の姿がそこにあった。 「直も早いじゃん」 「楽しみでなんだか寝付けなくて早目に来ちゃった」 そう言って俺の腕に纏わりついてくる直の手に持たれた紙袋が俺の腕に当たった。 「直、その荷物は何?」 「これ?クッキーとカップケーキ。皆んなで食べようと思って作ったの」 「直が?」 「うん。それでこれは心輝の分だよ特別なの」 ラッピングされた小さな袋を俺の前に差し出してきた。 「俺に?」 「うん。クッキーだけど心輝大丈夫?」 「俺は甘いの好きだから嬉しいよ。ありがとうな直」 直の頭を軽く撫でると嬉しそうに笑う。 いつ迄もこのまま直と居れたらどんなに幸せなんだろう? この笑顔を守れたら俺はどうなっても良い。 直、好きだよ。 これからもずっと直だけだよ。

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