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第1話 それぞれ
昼休み心翔はまた女の子の呼び出されていた。
最近は、直も一緒にお昼ご飯を食べていたんだ。
でも直は、居ない。
『優月君、動物園楽しかったね。また行きたいね。』
あの出来事が無ければそう言って話しかけてきそうだ。
僕は自分の席に座り机に突っ伏して直の事を考えていた。
僕がもっと気をつけていれば拉致られる事は無かったんだ。
村木を立てなくなるまでにしていれば直は刺される事もなかったんだ。
悔しいよ。
僕はなんて弱いんだろう。
「竹田、刺されたって聞いたか日野?」
教室中に聞こえるかのように話をする。
「死んでないだろ?死ねば良かったんだよ」
何が?
死ねば良かった?
「本当だな、あいつ居ても居なくても同じだしな」
そう言って笑うクラスの一部。
どうしてそんな事が言えるの?
直は、手術中に1度心臓が動かなくなったんだよ。
でも生きたいって戻ってきたんだ。
けど直はまだ眠ったままで心輝は心配で直の傍から離れないんだよ。
それなのに何故そうやって笑って言えるの?
教えてよ。
どうしてそんな事が簡単に言えるんだよお前ら!!!!!!
その時、僕の中で芽生えた怒り。
止める事が出来なくなっていた。
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