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第2話 それぞれ
「日野、それ笑えないから止めろよ」
僕はむくりと起き上がって前を見ながら言った。
教室中が騒めきだした。
空気みたいな存在だった僕がいきなりそんな事を言ったらやっぱり騒めくよな。
「はぁ?弱いくせに何言ってんだ八坂」
日野は、僕の机の前に来て思いっきり机を蹴った。
「何?脅してるつもりか?」
僕は負けずに立ち上がると机を蹴り返した。
今迄に無い僕の行動に日野も少しだけ後退りするが次の瞬間、襟を掴まれてお腹を殴られた。
「クゥッ・・・・・。お前から殴ったよな?」
「それがどうした?弱いくせに生意気なんだよ。八坂」
日野は僕をそのまま後ろにつき倒そうとしたが僕は日野の腕を掴むと力の限り握った。
「いっ・・・はな・・・離せ」
「ふぅ〜ん。離して欲しいんだ。けどさ、僕は離す気無いよ」
「うわぁ!!!!!!!」
教室中に日野の叫ぶ声が響き渡り廊下にまで聞こえたのか通りすがりの生徒が集まって来ていた。
「ゆづ君」
僕の横から冬空君がどうしたのかという顔で見てきた。
「止めたいなら無理だよ。僕はムカついたんだ」
「ゆづ君、どうしたの?日野の腕折れるよ」
「折るんだもん」
その言葉で冬空君が携帯を取り出し何処かに連絡をしている。
誰を呼ぼうが構わないよ。
こいつだけは直を傷付けてそれで死ねば良かったって言った日野だけは許せない。
日野と一緒にいた奴らはその光景を黙って見ていた。
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