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第5話 それぞれ

放課後、僕と心翔は直のお見舞いに病院に向かっていた。 「頼むから心配させないでくれ優ちゃん」 「ごめんね心翔。僕は前のが可愛かった?」 心翔は呆れた顔をして頭を撫でながら優しく笑った。 「今も可愛いよ。だから心配なんだ」 「ごめんね」 「さっきから謝ってばっかりだな優ちゃん」 「だって・・・」 僕はいつも心翔を心配させている。 だから本当に悪いと思ってるんだ。 心翔は優しいから僕は甘えてしまう。 「早く病院に行くぞ!」 心翔が僕の手を握りしめて早歩きになる。 「心翔、手を離してよ」 「離すとどっかに行くから離さない」 「僕は・・・」 そばに居ると言いかけたが僕は心翔の前から消えたんだった。 だから僕はそれ以上何も言わずに心翔の暖かい手を握り返して心翔の後ろを歩いた。 周りの人達が僕と心翔を見て何か言ってるけど心翔は気にせず堂々と歩いている。 「優ちゃん、恥ずかしい?」 「恥ずかしい」 「手放す?」 僕は下を向いて首を横に振った。 もう僕はこの手を離したくない。 離したとしても必ず心翔の側に帰ってくるよ。 「よし、ずっとこのままな?早く行こう。目覚めた竹田に会いに優ちゃん」 「うん」 直が目を覚ましたんだ。 昼休みの騒ぎ中に心輝からメールが来ていた。 直に会いたい。 会って謝りたい。

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