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第6話 それぞれ

直の病室の前、午前中の授業の間に目を覚ました直は状態も安定してるからと一般病棟の個室に移されていた。 寝ているかもしれないから静かにして下さいねと看護師さんに言われてソォ〜ッと病室のドアを開けた。 ベッドのそばに行くと心輝がパイプ椅子に座り直の足元でベッドにうつ伏せになって寝ていた。 心輝の手はシッカリと直の手を握っている。 「優月君?」 「ごめんね。起こしちゃったかな?」 「僕は起きてたけど心輝がさっき寝たの・・・ずっと寝てなかったみたい」 直が心配そうな顔をしている。 「心輝は大丈夫だから、竹田のが怪我してるんだからな」 「ちょと、心翔はもう少し優しく言ったら?」 「優月君は大丈夫?」 直はどうして周りの心配ばかりするの? 直が1番ひどい怪我なんだよ。 「優ちゃんは大丈夫だよ。昼間、日野とやり合った位だからな」 「えっ?怪我しなかったの?」 直は僕が日野にボコボコにされてるの知っているから心配だよな。 「心翔は、直が心配する話はしないでよ」 「分かったよ。ごめん優ちゃん機嫌直してよ」 「知らないんだから、心翔はもうしゃべんないでね」 直が僕と心翔の会話を聞いて少し笑った。 「ごめんね直。僕がもう少し気をつけてたら・・・本当にごめんなさい」 「竹田、本当悪かった。あの時2人にしなければ良かった。ごめん」 心翔も気にしてたんだよね。 きっと動物園に行った皆んなが同じ様に感じているんだ。 「ありがとう。でもね誰も悪くないよ。心輝も自分を責めてるけど気にしないで二人共」 直がそう言ってフワッと笑った。 怪我してなかったら僕は直をギュッと抱きしめたいよ。

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