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第11話 それぞれ
「心翔」
「どうしたの?なぜ泣いてた?」
「ごめんね。この前の事思い出したら怖くなって動けなくなったの・・・」
僕は心翔の胸に顔を埋めて心翔の制服をギュッと握り締めた。
恐怖で身体が震えどうして良いかわからなくて心翔に触れていたら怖くなくなるんじゃないかと思った。
「大丈夫だよ。そばに居るから優ちゃん」
「うん。心翔ありがとう」
心翔はギュッと僕を抱きしめてくれた。
心翔の心臓の音がドクッドクッと聞こえていてそれは心地よくてすごく安心できる音。
「心翔の心臓の音が聞こえる」
「落ち着いた?」
心翔の心臓の音を聞いているうちに僕の身体の震えは止まっていたのだ。
「ありがとう心翔」
「いいよ。可愛い優ちゃんの為なら俺はなんだってするよ」
可愛いって、すごく恥ずかしいすぎるきっと僕の顔は真っ赤になっているよね。
こんな気持ちになるのは心翔だけなんだよ。
心翔はずっと僕の頭を優しく撫でてくれている本当に優しく壊れたりしないように心翔の優しさが指の先から伝わってくる。
「心翔、1度帰ったのにどうして戻ってきたの?」
僕は心翔の服を再びギュッと握り締めた。
「なんか優ちゃんの声が聞こえた気がしたんだよ。凄く気になって戻ったら優ちゃんしゃがみ込んでるからビックリした」
心翔は撫でていた手を背中に回してギュッと僕を抱きしめて頭に優しく唇を当てた。
心翔に、僕の声が聞こえたの?
「僕ね・・・怖くて心翔って心の中で何回も呼んだんだ」
「優ちゃん・・・・・。ごめん」
どうして心翔が謝るの?
謝った理由が分かった。
次の瞬間心翔の手が僕の顎にあり上をクッと向かされて心翔の唇が僕の唇に重なっていたんだ。
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