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第11話 早めのクリスマス

「改めて、初めて咲夜(さくや)です。君達が今着ているブルースターシリーズのデザイナーをしています。因みに咲夜は本名だからね。俺は日本人。外国の血は流れてません」 この人は何を言ってるのかな? あまりにも早口で話をするもんだから頭が付いていかないんだけどね。 「えっ?すごぉ〜い」 僕の後ろから直がヒョコッと顔を出してマジマジと咲夜さんを見ている。 直がいつから後ろにいたのかが分からないくらい僕の頭の中はグルグルとしていて色々な情報処理に時間が掛かりそうだった。 「君は直君でこっちが心輝君。いやぁ〜こちらもまた良いんじゃない?そう思うよな徹」 徹? さっき一緒に入って来た人だ。 近くで見たら中性的な顔立ちで女性と言われても素直に信じてしまうくらい綺麗な人だった。 「咲夜がいいんなら、僕はいいと思うけど?」 「お前な、いつも俺の考えだけ優先するけど少しは自分の意見も言えよ」 「言った所で結局、咲夜が思うようにしちゃうじゃない?僕の意見いるのかな?それに、咲夜が思う通りにしてる方が評価されてるのが現実でしょ?違うの?」 えっと言い合い? 2人の関係は何? 僕はどうしたら良いのか分からなくなるし周りの人達も見て見ぬ振りみたいな感じになっている。 「すみません。優ちゃんが怖がるんで言い合いなら違う場所でお願いできますか?」 心翔が僕を腕の中に引き寄せて後ろから抱きしめた。 「俺も心翔と同じ意見です。直も怖がってるからすみません」 確かに直は言い合いとか目の前でされると身体を強張らせるけど僕は怖くない。 「あ・・・うん。そうだよな、大人気なくすまなかった」 咲夜さんは僕達に頭を下げた。 デザイナーさんだからプライドとか高くて人に頭を下げたりしないのかと思っていたけどちょっと想像したデザイナーさんとは違う。 気さくで優しい人。 「僕もごめんね。怖がらせるつもりは無かったんだ。後、僕は咲夜のアシスタントをしている大月徹(おおつきとおる)です」 徹さんも優しい感じの話し方をする人。 アシスタントさんでデザイナーさんに意見を求められるなんて徹さんは凄く信頼されているんだなと僕は思った。

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