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第21話 僕は心配

校門から出てきた藤咲正臣の目の前に立った。 感情を押し殺してあくまでも冷静に話をしようと手をギュッと握り締めた。 「すみません。藤咲正臣さんですか?」 「君は誰だ。いきなり名乗らず藤咲会長に失礼だろ?」 取り巻きなのか藤咲正臣の周りには数人の生徒が居た。 「失礼しました。僕は八坂優月です。久遠心翔と同じクラスで親友なんですけど藤咲さんは久遠心翔をご存知ですよね?」 遠回しに聞かないで直接聞いた。 とぼけても黒服の男の話をすれば大丈夫だと思ったからだけど生徒会長してるくらいだから頭はキレるに違いない。 どう切り抜けるのか見てみたくなった。 「知っている」 表情1つ変えずに冷たい声で言い放つ藤咲正臣はどことなく誰かに似ている。 「久遠心翔について出来たら2人でお話しをしたいです」 「久遠心翔君については学校の女子生徒が騒いでいる事くらいしか僕は存じて無いがそれでもお話がされたいと?」 心翔の名前を出してもその事で話がしたいと言っても冷たい声と無表情は変わらなかった。 「会長はお忙しいのだから帰ってくれたまえ!」 隣にいたヤツが僕の肩を押して少し後ろによろけてしまった。 「鈴木君、暴力はダメだ」 「すみません。藤咲会長」 暴力はダメかよ。 「フッ。藤咲会長の護衛の方2人居なくなったのはどうしてなんですかね?あっ、1人は居場所分かるけどもう1人は行方不明ですか?」 「何を言ってるんだ。本当に藤咲会長に失礼な奴だな!」 護衛と聞いて少しだけ表情を変えた。 僕はそれを見逃さなかった。 藤咲正臣がトボけるならどんな事をしても心翔の事を聞き出してやる。 僕がどうなっても構わない。

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