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第11話 僕は心配 Side心翔
優ちゃんと挨拶以外で話さなくなってどれだけ日々が過ぎたのだろう?
もうすぐ冬休みに入り優ちゃんの姿も見れなくなってしまう。
昼休みに優ちゃんは前みたいに1人でお弁当を食べるようになっていた。
その姿を見ていると入学して直ぐの優ちゃんを思い出してしまう。
人を寄せ付けなくなってしまった。
「久遠君。どうにかならないの?春子お母さんも心配してるんだ。また帰りが遅くて部屋に閉じこもるんだよ。以前の優月君に戻ってしまったと言ってた」
「帰りが遅いって・・・・俺達とかわらないような時間に学校出るじゃないか?」
「でもね。帰りが8時だったりたまに休み前とか休みの日だと帰ってこないんだよ」
帰らないって・・・どこに行ってるんだよ優ちゃん。
「帰らない時は連絡してくるんだけど場所は言わないんだ」
「宇佐先輩に相談して探って貰ったんだけど後をつけたら途中で巻かれてしまうみたいでどうしても場所が断定出来ないみたいなんだ」
「あっ、僕ね。優月君がネットに載せられてたの昨日見つけたんだ。心翔君の彼女に似てる男の子って書かれてた。ちょっと待ってね。ここの校門前で撮られたやつだよ」
竹田に見せられた画像には藤咲正臣と同じ制服を着た生徒が数人写っていた。
なんか吐き気がして来た。
頭の中で嫌な思いが浮かんでくる。
「この制服は、俺を拉致した奴の学校だ」
「直には教えてなかったよな。ゆづ君が巻き込みたくないからって一部にしか話してないんだよ。これってもしかしたら・・・・・・」
心輝の言いたい事は大体わかる。
だが俺らが聞いても優ちゃんは言わないと思う。
俺と心輝の考えてる事が同じなら優ちゃんはまた嫌な思いをしているんだ。
西山冬樹の時と同じ様な思いをさせてしまっている。
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