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第9話 好きな人
その日以来俺と正臣は毎日一緒に居る。
正臣の家に行って勉強とか正臣の好きな奴の話とかしていた。
たまに肌を重ねたりもしたけどお互いに寂しさからだと思う。
そこには恋愛感情はなかった。
「優月の背中の傷を聞いても良いですか?」
「良いけど・・・正臣は泣きそうだな」
「僕は男ですよ。泣きません」
「言ったからな。絶対に泣くなよ。俺がたくさんの男に何故抱かれていたかも聞くか?」
「聞いても良いんですか?」
ベッドの中で俺を抱き寄せて頬にキスをしてくる正臣。
「またやりたいのか?」
「違いますよ。笑ってるけど切なそうな顔をしていたのでついキスをしてしまいました」
「そっか、じゃあ話すな」
正臣は俺が話し終わるまで静かに聞いていた。
途中寝ているのかなとか思うくらい静かだったから顔を上げて確認をすると優しく微笑んでくる正臣がいた。
寝てないのを確認すると正臣の胸に顔を埋めて俺はまた話し出す。
正臣は優しく頭や背中を撫でてくれて話し終わると心地よくなり俺は寝てしまいそうになっていた。
「優月は眠いのですか?なら泊まりますか?」
「そうだな、明日は休みだしでめ俺着替えないや」
「それなら準備させますよ」
「分かった。家に連絡する」
ベッドから起き上がり携帯電話から家に連絡をする。
春子お母さんは『分かったわ。』と言って誰の家に泊まるとかは聞かなかった。
最近帰りが遅いとかも何も言われない。
直が心配をしているくらい。
家族は心配してるだろうが何も言われなかった。
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