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第10話 好きな人
携帯電話を握りしめソファに座っていると後ろから正臣がバスローブを掛けてくれた。
「何か羽織ってから電話すれば良かったのに風邪引きますよ。服と下着は用意させましたのでシャワー浴びたら夕御飯を食べに行きませんか?」
「外に行くの?」
「僕と外食は嫌ですか?」
「俺、お金あんまり持ってない」
「ご心配なく、僕が誘ったので出しますよ。優月は何が食べたいですか?」
悪いからと言うと気にする必要はないですからと正臣は優しく笑った。
もっと正臣が嫌な奴だったら良かったのにとたまに思う。
心翔と別れる原因は正臣の身勝手な行為だったがでも別れを決めたのは心翔と俺だから正臣を責めたりはしたくない。
正臣が何をしようとも別れない時は別れないんだから・・・。
心輝の兄さんが俺にした事を考えると心翔が別れたいと言っても仕方なかったのにそれでも付き合っていた。
けど今回は別れたいと言ったんだ。
シャワーを2人で浴びて用意された服に着替えると正臣の家を出た。
「正臣、どこ行くの?」
「僕は友達と外食はした事がなくて恥ずかしいのですがファミレスという所に行ってみたいんですがダメですか?」
「正臣はファミレス行ったことないの?」
こんな大きな屋敷に住んでるから庶民の行くような所には入ってなさそうだよなと俺は思った。
「ファミレス行こう。こっから近い所にあるのか?」
「良いんですか?15分歩いたらあります」
なんか嬉しそうに目を輝かせる正臣が可愛く思えた。
俺もあまりファミレス行った事ないからちょっと嬉しいかもしれない。
歩きながら正臣がこれからやりたい事とかあるならまた出掛けたりしようと話をしていた。
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