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第12話 好きな人
「もうすぐ冬休みだな正臣は何するんだ?」
「いつもの様に家に居ますよ」
「正臣はずっと家?俺も正臣と同じだけどな」
俺は後ろ向きに歩き正臣と話をしていた。
「優月、前を見ないと転びますよ」
「平気だよ。うわっ!」
全然平気じゃなかった。
足に何かが当たり後ろ向きに転びそうになったのを正臣が腕を引っ張り助けてくれた。
「だから言ったんですよ。後ろ向きには歩かないで下さい」
「うっ、うん。ありがとう正臣」
正臣の腕の中、少しだけ甘えていいかな?
俺は正臣の胸に顔を埋めた。
「どうしたんですか?」
「少しだけこうさせて正臣」
「分かりました。抱きしめましょうか?」
「それを普通に聞く?何も言わずに抱きしめてくれよ」
正臣はそれから何も言わずに優しく抱きしめてくれた。
この腕も胸も心翔ならどれだけ嬉しいのかな?
2度と心翔にはして貰えない。
分かっている。
「何してんだよ!」
正臣の後ろから聞き覚えがある声が聞こえてくる。
まさか・・・・。
「なんだよこれ?」
正臣の腕の中から離れて声のする方を見るとそこには心翔が立っていた。
「どうして・・・」
「それは俺が聞きたいんだけど?」
「それは・・・・・。」
俺は何も言えずに下を向いて目に溜まる涙をこらえていた。
正臣が俺の頭を優しく撫でる。
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