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第16話 好きな人

部屋の扉をノックする音が聞こえてくる。 「正臣様」 「なんだ?」 「鈴木久登(スズキヒサト)様がお見えになられておりますが如何なさいますか?」 鈴木君が? 「優月、話は後だ。すまない」 正臣はそう言うと部屋から出て行ってしまい俺と心翔は部屋で2人っきりになってしまった。 2人っきり・・・。 「優ちゃん、俺は・・・。優ちゃんが好きだ」 俺だって心翔が好きだ。 でも正臣との約束を果たさないといけない。 「俺もあの日ずっと好きだと言ったけど・・・」 また涙が出てくる。 やっぱり心翔の前だと弱い部分が出てしまう。 下を向き涙を手で拭おうとした時に暖かい腕に包まれた。 「ごめん優ちゃん。ごめん」 「嫌だ。はな・・・。うわっ!」 俺はソファに押し倒されて強く抱きしめられた。 逃れようにも心翔に弱い俺は思うように力が入らない。 「正臣が戻ってくるから放せよ」 「嫌だ。やっと触れれたんだ」 心翔に抱きしめられて嬉しくて触れられると体温が上がりドキドキとする。 まだこんなにも好きで心翔を求めているのに許されないと分かっているのにもっと心翔に触れていて欲しい。

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