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第17話 好きな人

心翔の唇が俺の唇に触れそうになった時に思わず顔を背けてしまった。 これ以上心翔に触れていたら俺は心翔から離れられなくなる。 「ダメだよ。久遠君」 「優ちゃん・・・・・」 心翔の腕に力が入り俺の肩に額を当てて震えていた。 俺だって心翔に抱きついて唇に触れたい。 「優月。ここは僕の部屋なんで2人で続きをするなら別の部屋を用意しますよ」 気づかない間に正臣がソファの横に立っていて俺たちを見下ろす横に鈴木君が顔を赤くして立っていた。 「久遠君、離れてよ」 俺が心翔を押すとゆっくりと起きてソファに座った。 「あっ・・・藤咲会長。もしかして久遠心翔君ですか?実物の方がカッコ良いですね。でもどうして此方にいらっしゃるのですか?」 「久登はまだカッコイイと言うんですか?」 あれ? 正臣って鈴木君の事をいつから久登って呼んでるんだろう? 俺は心翔の横に座りなおして首を傾げた。 「久登、そちらに座ってください」 正臣はさっき心翔が座っていた所に鈴木君を座らせた。 鈴木君は俺に気づいて睨んでくる。 「どうしてコイツも居るんですか?」 俺は鈴木君に相当嫌われているらしい。 俺が最初に正臣の学校に押しかけて行ったから悪いんだけどね。 「久登、それは後で説明します。少しだけ待っていてください」 鈴木君はコクリと頷きながらまた俺を睨んだ。 「正臣、さっき・・・」 「優月は心翔君の所に戻った方が良いと思います。 」 「でも!正臣と俺は約束しただろ?」 「その約束ですが破棄します。それと新たな約束です。僕は2度と心翔君に危害は加えませんし優月とも放課後や休日を過ごす事もありません」 俺が言葉を発する前に正臣は隣にいた鈴木君を抱き寄せて抱きしめた。 もしかして・・・・・。 「さっき、久登から好きだと告げられました」 「藤咲会長」 ずっと好きだった鈴木君と思いが通じたんだ正臣。 鈴木君が心翔をカッコイイと言ったから嫉妬して心翔にあんな事をしたんだ。 さっきから俺を睨んでたのは正臣が好きだからだったのだと理解でした。

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