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第19話 好きな人

「ゴホンッ。2人共すまないが僕達が目の前にいる事を忘れないで欲しい」 忘れていた。 正臣と鈴木君が居たんだ。 「ウッ・・・ま・・・ううん」 名前を呼ぼうとしたら唇を割って心翔の舌が入ってきて俺の舌に絡んでくる。 そんな事をされたら何も考えられなくなる。 「仕方ありません。久登、部屋を移りますよ」 「へっ・・・あっ・・・はい。藤咲会長」 「いい加減に正臣と呼んではくれないか?久登」 「えっ?」 「まぁ、この後呼ばせますからこちらに来てください」 2人の会話がドンドン遠くなりドアの閉まる音だけが聞こえてきた。 2人が居なくなると心翔は俺に噛み付くように荒々しく唇に貪りついてくる。 俺も必死に応えようと息をするのも忘れて夢中になっていた。 心翔が唇を俺からゆっくりと離すと銀の糸が2人を繋いでいた。 「優ちゃん。俺を許してくれるか?」 心翔は俺をきつく抱きしめたがその手は少し震えていた。 「心翔、まだ触れたりするのが怖い?俺はずっと待つよ」 「大丈夫。また心翔って呼んでくれるんだな」 頬に心翔の唇が当たる。 ドキドキして嬉しくて泣きそうになる。 やっぱり俺は心翔が好きで触れてもらいたいのは心翔だけだと思った。 他の人じゃあダメなんだ。 俺は・・・・・僕は心翔だけだから・・・・・・。

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