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第4話 好きな人 Side正臣
今すぐにでも隣に座り久登を抱きしめたいが今の僕ではそれは許されないしそんな事をして拒絶され久登とのこれまでの関係が崩れるのも嫌だった。
「藤咲会長・・・・・アイツが好きなのですか?」
久登は下を向いたまま膝に置かれた手はギュッと握られていて、涙が手の甲にポタッと落ちてきた。
「鈴木君、アイツとは?優月の事かただの友達だが友達としては嫌いでは無い」
「友達ですか?でも最近アイツと一緒に居る時の藤咲会長は笑ってます」
笑ってる?
「僕はいつも笑ってると思うんだが?」
「いつもは・・・・・あんな優しい感じで笑いません」
確かに優月に笑いかけるのと他の人達に見せる笑顔は違う。
だが久登にも同じ様にしていたはずだ。
久登の好きはどちらの意味だ?
「鈴木君は、僕が有り得ないが男の優月に恋愛感情があると言っているのか?」
なるべく平常心で気持ちに気付かれない様に久登に聞いてみる。
久登は顔を上げて目に涙をいっぱい溜めたまま真っ直ぐに僕を見て頷いた。
本当に理性が無くなりそうだ。
「友達だ。恋愛感情は無い」
そうは言っても肉体的には関係がある。
久登に話して嫌われたく無いから黙っておこうと考え込んでいると久登が立ち上がり僕に近づくとソファに僕を押し倒した。
一瞬の出来事で何が起きたかと考えていると今度は久登の顔が近づいてきて暖かいものが唇に触れた。
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