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第5話 好きな人 Side正臣
唇の感触が何かを理解するのに時間がかかった。
理解できた時には久登の舌が唇のわずかな隙間を割って入ってきた時だった。
「ちょ・・・・ううっ・・・・・・」
止めようと肩を掴むが久登のが力が強くて止めることも出来ないし好きな相手が僕にキスをしていると思うと身体の力が抜けていってしまう。
何も考えられなくなり僕は久登の舌に自分の舌を絡め掴んでいた肩から手を離すと久登の背中に腕を回した。
すると久登はビックリとして僕から唇を離して驚いた顔をしている。
「もう終わりか?鈴木君」
「すっ・・・すみません。僕はなんて・・・・・」
また泣きそうな顔をしている久登の頬に触れた。
「そんな顔をするな・・・僕は久登が好きだよ」
「藤咲会長・・・」
久登は目を見開き信じられないという顔をしている。
「ちゃんと恋愛感情だ。久登はどうして僕にキスをしたんだ?僕と同じ気持ちなら嬉しいけどね」
「僕も・・・藤咲会長が好きです。ずっと初めて会った時から好きで・・・・・」
今度は僕から久登に触れるだけのキスをした。
久登は顔も真っ赤だったが耳まで赤くなっていてそれは僕に初めて見せる表情だった。
「学校以外では正臣と呼んでくれ久登」
「えっ・・・・・・でも・・・・・」
「言わないとまたキスをするぞ久登」
久登は僕の言った事に口をパクパクとさせて驚いていた。
「そんなにキスしたいのならもう少し顔を近づけてくれ久登」
「あっ・・・。ま・・・正臣・・・・・・ううっ・・・・・・」
言っても言わなくてもキスをするつもりだった。
久登とのキスは蕩けてしまいそうだ。
好きな相手とのキスがこんなにも心地よくて暖かな気持ちになるなんて知らなかった。
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