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第7話 好きな人 Side正臣

優月には久登の事を話しておきたかったが部屋に入ると2人の距離が近付いていた事に少しだけ安心していた。 「優月。ここは僕の部屋なんで2人で続きをするなら別の部屋を用意しますよ」 さっき僕達もこんな感じだったんだがやはり他人のを見ると照れてしまうものだろうか? 久登が2人を見て顔を赤くしていた。 「久遠君、離れてよ」 2人の距離はまだ近付いていないのか久遠君と呼んでいる優月を見ると何故か胸が痛んだ。 ソファに座る心翔君を見て久登が驚いている。 「あっ・・・藤咲会長。もしかして久遠心翔君ですか?実物の方がカッコ良いですね。でもどうして此方にいらっしゃるのですか?」 「久登はまだカッコイイと言うんですか?」 やはり久登が心翔君をカッコイイと言うと複雑な思いになるが前みたいな嫉妬心なかった。 優月は僕と久登の関係が前と違う事に気づいたのか少しだけ僕の態度に首を傾げている。 「久登、そちらに座ってください」 久登を優月の前に座らせると睨みつけているのが分かる。 「どうしてコイツも居るんですか?」 「久登、それは後で説明します。少しだけ待っていてください」 僕が言うと久登はコクリと頷いて大人しくなった。 「正臣、さっき・・・」 「優月は心翔君の所に戻った方が良いと思います」 「でも!正臣と俺は約束しただろ?」 「その約束ですが破棄します。それと新たな約束です。僕は2度と心翔君に危害は加えませんし優月とも放課後や休日を過ごす事もありません」 優月と心翔君には雑誌に載っていたような関係に戻って欲しかった。 心翔君にした事を思うと僕達は2人に関わらない方が良いと思ったから優月には冷たい言い方をしてしまった。 久登を見るとやはり不安な表情をしている僕は安心させようと久登を引き寄せ抱きしめた。 「さっき、久登から好きだと告げられました」 「藤咲会長」 優月、僕はこれから心翔君や優月にした事を後悔しながら生きていくよ。 けれど久登を好きでいる気持ちだけはどうか許してほしい。 2人でいる事をどうか許してくれ。

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