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第2話 忘れてた誕生日 Side直

クリスマスパーティを兼ねて海の別荘とやらで優月君のお誕生日パーティもする事に決まりました。 宇佐先輩と塚元君は夏休みに久遠君のお父さんが所有する海の別荘に優月君を含めて4人で遊びに行ったと言ってました。 心輝と僕は初めて行くので緊張します。 それに部屋は心輝と僕が同室になるので今から寝れるか心配になって来ました。 いつも心輝の隣でドキドキしているのに同じ部屋で寝るなんて考えただけで気絶してしまいそうです。 「直?」 「へっ?」 忘れてました。 前日にアップルパイを焼いて持って行こうと心輝と材料を買いに来ていたのです。 「考え事か?気になる事あるなら言えよ」 「あっ、うん。大丈夫だよ。心輝ありがとう」 ダメだな僕は、たまに現実逃避をしてしまう。 心輝は僕の方を見て微笑んでいた。 そんな心輝を見て周りの女性達は熱い視線を送っていた。 やっぱり何処にいても心輝は女性達の目を引いてしまう。 そんな隣にいる僕には冷たい視線しか集まらないのが現実である。 心輝が僕の頭をクシャクシャとするだけで痛いくらいに突き刺さる女性達の視線。 考えすぎかな? 以前はそう思っていたのだがなんだか違うように思えてきた。 とにかく今は材料を買ってこの突き刺さる女性達の視線から一刻も早く逃げ出したかった。 僕は現実逃避から戻って来るとテキパキと材料をカゴに入れてレジに並んだ。 それから会計が済むと素早くスーパーから出て家に向かって歩いた。

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