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第8話 忘れてた誕生日 Side直

「そこの2人、落ち着いたのならゆづさん達を呼んできてよ」 ソファの後ろに両手を組んで仁王立ちしている宇佐先輩がいた。 「宇佐先輩、ずっと居ましたよね?」 いつから居たの? 心輝は気づいていたんだ。 「ずっとじゃ無い。お前らがキスした所ぐらいからだよ」 「ほぼ初めから居たみたいな感じじゃないですか宇佐先輩」 平然と2人が話す会話に僕は付いていけないし見られていたなんて恥ずかし過ぎる。 居た堪れなくなり慌てて立ち上がった。 「あの・・・僕が優月君達を呼んできます」 「直、一緒に行こうか?」 「へっ、あ・・・1人で平気。心輝はお皿とか用意しておいてね」 そう言うと僕は急いで優月君達がいる部屋へと向かった。 優月君達の部屋の前に行くとドアが開いていたから僕は声を掛けずにそのまま部屋に入ったんだ。 「優月君。みん・・な・・・ごっ・・・ごめんなさい」 なっ・・・・・何? 優月君達のキスは凄く・・・・・僕の口からは言えないくらいに衝撃的です。 久遠君は2人の時は優月君に甘えているのでしょうか? あんな弱々しく見える久遠君は初めてです。 さっきから僕の中で処理しきれない出来事がたくさん起こりフリーズしてしまいそうです。 今もドアの前から動けないでいます。 「直?どうした。早く心翔とゆづ君を呼ばないと直が作ってきたアップルパイ食べれないだろ?」 心輝の声が聞こえて来る。 僕は声の方を振り向くと身体の力が抜けてしまいそのまま座り込んでしまった。 「直!どうしたんだ?」 「えっと・・・僕・・ごめんなさい」 どこから話せば良いの分かんなくなって心輝に謝ってしまっていた。 「心翔、エロい事してたのか?」 心輝は僕の状態を見て久遠君に言ったのかな? 僕の腕を引っ張り立たせてくれると心輝は後ろからお腹の辺りに両腕を回して抱き締めてくれた。 「してないし、キスはしてたけど普通だ」 「心翔達のはエロいんだよ」 僕が口に出せなかった言葉を心輝はあっさりと言ってしまった。 本当に優月君達のキスは目のやり場に困ります。

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