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第2話 忘れてた誕生日 Side冬空

龍が雑誌を乱暴に置いて部屋を出て行った日から龍は俺の部屋には来なくなってしまった。 学校の昼休みは一緒にご飯を食べているがそれは皆んながいるからで決して2人になる事は無かった。 避けられては無いよな? 挨拶をすれば返してくるし会話はちゃんと出来ている。 昼休みも隣に座ってご飯食べたり俺の腕にたまに触れたりはして来るけれど・・・・・・。 距離を感じる。 近くにいるのに側で笑って会話をしているのに龍には見えない壁があるような気がする。 俺の考え過ぎかもしれない。 心翔の別荘に行けば2人になるからその時にでもゆっくりと話してみよう。 今のままでは龍は卒業するまで俺の部屋には来ないような雰囲気だった。 いや、卒業してからもずっと来ない気がする。 どうしてか分からないけどそんな気がして不安で胸が押し潰されそうになる。 平気なフリして感情を表に出さない様にしているけどやっぱりキツイ。 龍・・・。 俺はどうしたら良い? 龍はもう俺を嫌いになったのか? ゆづ君が居るからいつもと変わらない様に俺と話をしているのか? なぁ、龍・・・ゆづ君を憧れ以上の感情で見てないよな? ヤバイ、本当に悪い方へ考えてしまう。 俺ってこんなに弱かったんだろうか? 弱かった。 龍に釣り合いたくて本当は、強いフリをしていたんだ。 こんな弱い俺に抱かれるなんてイヤになったんだよな龍。 俺からは別れを告げる勇気は無いからまだ側にいさせて欲しい。 龍が卒業するまでは、ちゃんと強いフリして龍の隣に居たいんだ。 卒業したらもう会う回数も減るから良いよな龍。

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