592 / 903

第3話 忘れてた誕生日 Side冬空

別荘の事を話したくて放課後、龍がクラスにいるか分からないけれど3年の教室に向かって歩いていた。 1年が3年の階をうろついていたらジロジロと見られるけれど俺は龍と幼馴染だと知られているから見られる事は無かった。 確かに初めて3年の階に行った時はジロジロ見られたけど最近は知らない人から話しかけられる事のが多いかもしれない。 龍の教室に近づくと男女の数名の笑い声や話し声が聞こえて来た。 その中に聞き覚えのある声が聞こえて来る。 龍だ。 良かったまだ残っていたんだ。 教室に入りかけた時に聞きたくない会話が聞こえて来た。 「龍、好きな奴居ないんだろう?だったら美奈ちゃんと付き合ったらどうだよ」 「居ないけど・・・美奈ちゃんが俺となんかじゃ嫌じゃないのか?」 好きな奴居ないって龍・・・俺の事・・・・・・好きじゃないのか? 美奈ちゃんて誰だよ。 「私は良いわよ。龍君は優しくてカッコいいしね」 「なら決まりだ龍、付き合えよ」 何が決まり? 龍はどうして付き合えないと返事しないんだよ。 どうして楽しそうに笑ってんだよ。 「あれ?龍の幼馴染の・・・塚元君だよね。龍迎えに来たのか?」 俺の後ろから龍と同じクラスの男子生徒に話しかけられた。 龍は会話に夢中で此方には気づいていない。 「違います。俺帰りますんですみません」 「えっ?龍に会わなくていいのか?」 会わなくていいよ。 俺はそのまま返事をせずに廊下を走って階段を降りた。 そっか・・・龍が最近、俺を避けていたのはそう言う事だったのかよ。 俺、1人で馬鹿みたいじゃん。

ともだちにシェアしよう!