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第12話 忘れてた誕生日 Side冬空
冷たい。
頬に水滴?
もう一滴頬に落ちてくる。
俺はゆっくりと龍の方に顔を向けると目から涙を溢れらせて声を押し殺して泣いている龍の姿が見えた。
どうして龍が泣いてんだよ。
「龍、何故泣いてんだよ」
泣きたいのは俺の方なのにどうして龍が泣いてるんだよ。
「俺から離れないでくれ冬空」
離れていったのは龍じゃないのか?
俺はいつだって龍のそばに居ようとしたのに最初に離れていったのは龍だろ?
「最初に、俺から離れたのは龍だ」
「ちがっ・・・あれは・・・・・・」
「あれは、なんだよ」
なんだよ。
意味がわからない龍のやっている事が全く理解できない。
けれどそれでも俺は龍が好きだ。
泣いていて上手く話せない龍だがその涙は嘘じゃないとわかる。
だから俺は龍が離れるなっていうなら側にいる。
「泣くなよ。側にいるからちゃんと龍の側にいる」
俺の言葉に余計に泣いてしまった龍。
俺は腕を伸ばして自分の方へと引き寄せて抱きしめた。
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