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第1話 初詣

別荘から帰って来たら家に冬斗(ふゆと)兄さんが帰って来ていた。 忘れていたのではありません。 八坂家の長男で医大生の冬斗兄さんです。 大学が遠いので自宅からだと通学時間が勿体無いと大学の近くで1人暮らしをしているんだ。 冬斗兄さんは20歳。 僕よりも勉強が出来て人に頼られたり、とにかく凄く優しい冬斗兄さんがリビングに居たのです。 「冬斗兄さん。いつ帰ったの?」 「昨日帰ってきたんだよ。久しぶりだな優月。また可愛くなったか?」 「可愛いってまた僕をイジるんだから冬斗兄さん」 僕は冬斗兄さんにだけは色んな話をしていたかもしれない。 八坂家でよく話をしたのは冬斗兄さんだった。 「その隣にいるのが竹田直君?」 「あっ・・・はい」 「ビックリしたよね。僕は八坂冬斗。今は実家を出て大学の近くに1人暮らしをしてるんだよ。よろしくね」 「はい。よろしくお願いします」 直は深々と頭を下げた。 「直君て呼ぶから優月と同じ様に冬斗兄さんて呼んでくれたらうれしいな」 冬斗兄さんは直に向かってニッコリと微笑んだ。 柔らかい感じの冬斗兄さんが笑うと天使に見えてくる。 中性的な顔立ちをしている冬斗兄さんは普通にしていたら男性に見えるんだけど笑うと可愛らしくて女性に見えてくる。 だから僕は冬斗兄さんを天使とたまに呼んでいる。

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