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第2話 初詣

春子お母さんに荷物を部屋に置きに行く様に言われて僕と直は自分の部屋に荷物を置きに行った。 客室を直の部屋に模様替えをしてあるから冬斗兄さんの部屋はそのままにしてある。 春子お母さんは冬斗兄さんが居なくても毎日掃除は欠かさなかった。 リビングに降りると冬斗兄さんはソファに座りバラエティ番組を観ていた。 春子お母さんは夕飯の支度をしている。 「おっ、優月!ここ座れよ」 「う・・・うん」 冬斗兄さんは自分の隣に座る様にソファをポンポンと叩いた。 久しぶりだから仕方無いけどあまりベタベタと僕に触れてほしくなかった。 家族と言っても親戚。 本当の兄弟じゃない。 きっと心翔は良い気はしない。 でも、逆らえずに僕は素直に冬斗兄さんの隣に座った。 やっぱり。 座ると同時に肩に腕を回してくる冬斗兄さん。 前は気にならなかった。 家族と認めてくれているんだと寧ろ嬉しかった。 直も1人用のソファに座り僕達を見て首をコテンと横に傾げている。 普通の兄弟でもこんな事しないよね。 僕も初めに拒まなかったのは悪いんだけど小さい時から冬斗兄さんと遊んでいたから本当に気にならなかったんだ。 ただのスキンシップだと思っていた。 でも心翔の事を考えると胸がチクチク痛むからやっぱり冬斗兄さんにちゃんと話をしよう。

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