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第5話 初詣
夕食の支度を終えてリビングに来た春子お母さんにお土産を渡し冬斗兄さんに心翔の事を話したと告げる。
僕の様子で冬斗兄さんが良い印象を持たなかったのだと察してくれて優しく頭を撫でてくれた。
「冬斗もいつか理解してくれるから優月元気出してね」
「ありがとう。春子お母さん」
「僕も居るからね優月君。頑張ってね」
側にいた直にも元気付けられた。
きっと冬斗兄さんも時間が経てば理解してくれるよね。
心翔に話したほうが良いのかな?
何かあったら話すと決めていたからやっぱり心翔にはちゃんと話しておかなきゃダメだよね。
「ちょっと、心翔に電話してくるから部屋に行くね」
「お夕飯になったら呼びに行くわね」
「うん。ありがとう春子お母さん」
僕は階段を登り自分の部屋へと向かった。
床に座りテーブルに置いてある携帯を手に取ると携帯画面に表示されている心翔の電話番号を見つめていた。
心翔・・・。
僕はゆっくりと深呼吸をして心翔に電話をした。
一回のコールで心翔が出たので少しビックリして声が裏返ってしまった。
そんな僕の様子に心翔の声が少し心配しているように聞こえてきた。
『優ちゃん?大丈夫、何かあったのか?』
「えっと・・・冬斗兄さんを覚えてる?」
『うん。覚えてるよ。冬斗さんがどうかしたの?』
「今ね。実家に帰って来てるんだよ。それで心翔との事を話してなかったのを思い出して話したんだ」
そこまで言うと言葉につまり僕は黙り込んでしまった。
心翔は察したのか柔らかい口調に変わった。
『大丈夫だよ。俺と一緒に今度は冬斗さんと話をしよう。2人なら大丈夫だよ優ちゃん。』
「う・・・・ん。ぐすんっ・・・ありがとう」
冬斗兄さんに拒絶された事が悲しくてけど泣くのはダメだと思っていた。
心翔の声を聞いたら涙が溢れてきて止まらなくなってしまった。
泣いたら心翔が心配しちゃう。
けど涙が止まらないよ。
今すぐ心翔に会って抱きしめて貰いたい。
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