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第7話 初詣

冬斗兄さんとはギクシャクしたまま12月31日を迎えてしまった。 桃お姉様も協力をしてくれていたけど冬斗兄さんは話を聞いてくれる状況では無かった。 「何、あの偏屈な弟。あれでも私の弟かしらムカつくわ!」 とうとう桃お姉様が暴言を吐き出してしまった。 直と2人で桃お姉様をなだめながら初詣に行く準備を始めた。 「優月と直君。可愛くなりたくない?」 桃お姉様がニヤリと笑いながら言うと凄く怖い。 可愛くってのが引っかかる。 「僕も直も遠慮します」 隣で直もブンブンと首を縦に振っている。 直も気づいているに違いない。 桃お姉様が僕達に女性物の着物を着せたがっているという事。 「いいじゃない。可愛くなったら心輝君も喜ぶわよ」 「だ・・・大丈夫です。今でも可愛いと言われてます」 僕の後ろに隠れて顔だけ覗かせながら全力で直は拒んだ。 桃お姉様が怖いのか僕の後ろでプルプルと直は震えている。 「優月は?」 「僕もこのままで良いよ」 「優月、可愛いのよ。この着物」 「僕は女装に興味ない」 ハッキリと言ってやった。 桃お姉様なんか怖くないんだからね。 男娘ならともかく僕は女の子の可愛い服とかには興味は無いんだ。 桃お姉様が諦めるかと思ったのが甘かった。 「女の子の格好したら堂々とイチャイチャ出来るのよ。手を繋いで歩いてもキスをしても平気なのになぁ〜」 堂々とイチャイチャ・・・・・・。 男どうしでは出来ない。 けど僕は負けない。 絶対に女の子の姿になんかになるもんか!

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