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第9話 初詣
「別に、部屋に居たら下が騒がしくて降りてきたんだよ。僕が来たら何か不味いわけ?」
刺々しく桃お姉様に言う冬斗兄さん。
あんなに仲良かった2人が僕のせいでギクシャクしている。
「お久しぶりです。冬斗さん。心翔です」
僕の隣に座っていた心翔が立ち上がり頭を下げた。
一瞬にしてその場の空気が凍りついてしまった。
僕は怖くて冬斗兄さんの顔を直視できないでいた。
「えっ?」
心翔を見て冬斗兄さんはビックリした声を出した。
あれ?
そっか、心翔を最後に見たのは中学生の時だよ。
冬斗兄さんの中の心翔は女の子に間違えられていた頃の記憶なんだ。
「心翔君?」
「はい。今は久遠という苗字ですが以前は佐伯です。覚えていてくれたんですか?」
「僕の知っている心翔君は女の子みたいな感じでちょっとビックリした」
2人のやり取りを見ながら僕はドキドキしていた。
僕の事を拒絶していたのに心翔とは普通に会話をしている。
久しぶりに会ったから?
心翔の容姿がかなり変わったから?
僕の時みたいにまた心翔も拒絶されてしまうんだろうか?
「かなり背が伸びたんじゃないのか?」
「そうですね」
2人で笑いながら話をしている。
どうして僕は拒絶したのに心翔とは普通に笑って話をするの冬斗兄さん。
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