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第17話 初詣

「優ちゃん、あれやろうか?」 「どれ?」 僕は心翔が笑いながら指差す方を見るとたくさんのパンダの縫いぐるみが置いてあった。 クジを引いて1等が当たれば1メートル位のパンダの縫いぐるみ。 2等でもその半分はある。 後は手のひらサイズ位のパンダだった。 「僕、縫いぐるみなんていらないよ」 「パンダは好きだよな?」 「好きだけど・・・じゃあ、1回だけだよ」 パンダは小さい時から好きだった。 僕は縫いぐるみに興味は無いが心翔が嬉しそうに話をしてくれるから僕もパンダを好きな事を覚えていてくれたのがすごく嬉しくて1回だけなら良いかなって思ったんだ。 心翔は僕の手を引くと屋台の前まで来てニコニコ笑っている。 たまに可愛い感じになるんだよね心翔。 それを見てるだけで僕は嬉しくて幸せな気持ちになる。 「はい。2回ね」 「えっ?」 僕は1回だけだよって言ったのは2人で1回の意味だったんだけど心翔は1人1回と受け取ったらしくておじさんに2人分のお金を払っていた。 「彼女、引いてね」 おじさんはニコやかに僕の前にクジが入った箱を持ってきた。 彼女・・・・・・。 なんだか凄く恥ずかしいんだけど僕。 「ほら、彼女。おじさんの手が疲れるから早く引きなよ」 「あっ・・・ううん」 おじさんは僕を見てニコニコ笑ってくれている。 本当になんだろ? 恥ずかしい。 僕は慌てて下を向きながら箱の中に手を入れると1枚クジを取り出した。

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