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第18話 初詣

僕は1枚取ると心翔の方をチラッと見るとどうしたのという顔で僕を見てきた。 「心翔も引いてよ。一緒にクジを見ようよ」 「分かった」 おじさんが持っているクジの箱から心翔も1枚だけクジを取り出した。 「彼氏、彼女が可愛くて仕方ないんだな。おじさんもそんな時があったよ」 僕らを見ておじさんはそう言うと豪快に笑っていた。 おじさんの左指には結婚指輪がキラリと光っている。 奥さんとの事を思い出しながら言ったのかな? おじさんは豪快に笑っているけれど照れ隠しにも見えてくる。 「優ちゃん。開けるよ」 「あっ、うん。じゃあ一緒に心翔」 僕達は2人でクジを開けた。 「僕のハズレって書かれてる。心翔のは・・・・・等?へっ・・・あっ!!!!!!!」 僕は心翔が手にしているクジを見て大声で叫んでしまい周りから注目を浴びてしまった。 慌てて口を両手で押さえるともう一度だけ心翔が持っているクジを覗き込んで確認した。 「彼氏、どうした?当たったか?」 僕はおじさんの方を見て首をブンブンと縦に振った。 「いっ・・・1・・1等」 僕はそれだけしか言えなかった。 欲しいとか思ってた訳じゃないけどでも1等という文字に興奮してしまった。 「良かったな彼女。ほらっハズレはこの小さいのだ。で、ほらっこのデカイのだ。」 おじさんは僕達が渡したクジを確認しながら景品を渡してくれた。 小さなパンダは心翔に渡して大きなパンダは僕の目の前に抱きかかえながら渡してくれた。

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