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第20話 初詣
その男の口元がニヤリと笑いを浮かべてゆっくりと動いた。
『み・つ・け・た』
僕にはそう見えた。
見つけた?
あの時、あの部屋に来ていた人達は心翔のお爺さんの権力やらなんかで僕には近づけなくなっている。
けど・・・・・偶然に出逢うのは防ぎようが無い。
あの男は僕を探していたのか?
見つけたとか探していた?
「優・・・優ちゃん!」
強引にパンダを僕から奪い取りながら心翔が叫んだ。
「なんて顔してんだ?」
僕はどんな顔してるの?
心翔の顔が見えて安心したら急に身体の力が抜けて足から崩れるように座り込んでしまった。
心翔は支えようと腕を伸ばしたがパンダが邪魔して間に合わなかった。
心翔も心輝も直も僕の様子がおかしいのに気づいたらしくてずっと話し掛けてたのに返事をしなかったから強引にパンダを引っ張り離したらしい。
「心輝、これ頼むよ。俺達先に帰る」
「分かった。早く行けよ。後は俺が話つけてくるから心翔。直も一緒に連れて行ってくれないか?」
「分かった。竹田帰るぞ!」
何が起きてる?
まだ見てない屋台とかあるのに直とかも帰っていいの?
心輝は誰と話すの?
身体がガタガタと震えだして心翔に抱きしめられる。
そうだ・・・・・あの男が居たんだ。
心輝も知ってる男。
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