630 / 903

第21話 初詣

ダメだ。 心輝もあの男には酷い事をされている。 それにパンダ持ったまま話に行くの? 心輝も動揺してるんだよね。 心輝の行動に僕は少しだけ落ち着きを取り戻した。 「僕は心輝と一緒に行くよ。優月君達とは帰らない。ダメッて言っても着いて行くんだからね!!!!!」 「危ないから言ってるんだ」 「嫌だ。危ないなら心輝もでしょう?違うの?」 そうだよ。 直の言う通りだよ。 「君達は騒がしいんだよ。周りから注目されているから声のトーンを落とせよ」 僕の後ろから聞き覚えのある声が聞こえてきた。 振り返ると腕を組んで呆れた顔をしている正臣と鈴木君が立っていた。 「久しぶりだね。優月君と心翔君」 「正臣・・・どうしたの?」 僕が正臣を呼び捨てにすると鈴木君が険しい顔をして僕を睨んでいる。 今更、正臣君と呼ぶのもおかしな話だから僕はどうしたらいいんだろう? 「久登と初詣に来たんだ。付き合って初めての正月だからね」 鈴木君は正臣の言葉に少し頬を赤く染めて嬉しそうに笑った。 正臣が鈴木君に気を使ったんだとすぐに分かる。

ともだちにシェアしよう!