633 / 903
第24話 初詣
さっきまで険しい顔をしていた心翔が僕の方を見て笑うとパンダを僕から取り上げて片手で抱えて空いている方の手で僕の手を握りしめた。
「優ちゃん、手を勝手に放すなよ。寝る時にお仕置きしなきゃいけないよな?」
「ごめん・・・・て、お仕置きって何?」
「後のお楽しみだ」
僕は心翔に何をされるの?
僕が知っているお仕置きは・・・・・・・。
「大丈夫だよ。痛い事を優ちゃんにするわけないだろ?だからそんな顔するなよ」
「うん」
あの部屋の事を思い出して、さっきの男の人の事が頭から離れない。
考えない様にしようとすればする程に蘇ってくる記憶。
ふわっとパンダが僕の目の前に来たかと思うと次の瞬間に唇に温もりを感じた。
チュッ。
「心翔、またダメだよ。誰かに見られちゃうよ」
「だからパンダで隠したんだよ」
そう言ってもう一度ど僕に唇を重ねてくる心翔。
きっと僕の手が震えている事に気付いたんだ。
言葉で慰めてもらえるのも嬉しいけど側で心翔の温もりを感じれる方が僕には1番幸せな気持ちになれんだ。
「パンダで隠れてんのは前だけだからな後は丸見えだ心翔」
よく考えたらそうだよね。
また心輝と直に見られてたの?
見られていたのはやっぱり恥ずかしいよ。
心翔を見ればバレたかと苦笑いをしてから頬に唇を当ててそれから耳元で囁かれた。
「続きは2人の時に優ちゃん」
僕は心翔の言葉に顔が熱くなるのが分かった。
さっき怖い思いをしたけどやっぱり心翔と居るとドキドキして怖い事なんて忘れてしまう。
「心輝に怒られるから早く帰ろうな優ちゃん」
グッと握っていた僕の手に力を入れると優しく微笑んだ心翔。
手の力と顔の表情には差があるけれど僕を心配しているんだと伝わってくる。
僕も心翔の手を握り返して笑った。
大丈夫だよと伝えたくて・・・・・・。
ともだちにシェアしよう!