635 / 903

第26話 初詣

心輝が部屋からリビングへと降りてくる頃には直も着替えを終えて僕達と話していた。 心輝を見ると険しい顔をしていた。 「心輝・・・」 僕は恐る恐る心輝の名前を呼ぶと心輝は一呼吸おいてから話し始めた。 やはり居場所が分からなかった人だった。 宮崎と名乗っていた男は僕が救出された日から所在不明。 心輝のお兄さんの知人が宮崎を連れてきた事は分かるが知人もラウンジで知り合ってそのままあの地下室に来たらしくて詳しい事は知らないらしい。 もしかしたら知ってるけど話せないとか考えられると伯父さんが言っていたと心輝が話してくれた。 僕は宮崎の事を思い出すと身体が強張り上手く息が出来なくなっていた。 「優ちゃん」 心翔はパンダを僕から取ると代わりに温かな腕で僕の身体を包み込んでくれた。 「大丈夫だから絶対守るから優ちゃん」 「うん」 心翔の温もりと声に僕は落ち着きを取り戻す。 周りも心配をしていた。 救出された時の僕を見ているからだと思う。 心翔のお母さんが遅くなったから早く休みなさいと言ってくれたから皆んなは其々の部屋へと入って行った。 心翔とベッドへ入ると僕を抱きしめて軽く額にキスをしてくれた。 「今日は何もしない」 「う・・・うん」 「お仕置きだから何もしないんだ。早く寝よう優ちゃん」 お仕置きって何もしない事? 心翔は僕を抱きしめたまま寝てしまった。 僕もいつの間にか心翔の寝息と温もりに心地よくなり深い眠りに落ちていった。

ともだちにシェアしよう!