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第11話 お屋敷
直と正臣とで話をしているとドアが勢いよく開いてドカドカと心翔が入って来て僕の座っている前に立つと前かがみになり顔が僕の鼻に当たりそうな位に近づいた。
「優ちゃん。また勝手な事したよな?」
「へっ?何を言ってるか分からないよ心翔」
心翔は凄い怖い顔をしている。
クマちゃんには電話したけど動かないように言ってあるから勝手な事じゃ無いよ。
心翔と心輝が部屋に戻ってきたら動画見せてもらってから話をしようと思ってたもん。
「ふぅ〜ん。分から無いの優ちゃん。トラジさんに連絡しただろ」
えっ?
「どっ・・・どうして心翔が知ってるの?」
心翔は『はぁ〜。』と小さく息を吐くと僕の額に自分の額をつけて両手で僕の頬を包み込んだ。
「冬空から連絡が来たんだ。伯父さん達がトラジさん達と合流してさっき鈴木君が保護された」
僕が動かないように言ったからクマちゃんはきっとウサちゃんに連絡をして冬空君が心翔に言ったんだ。
「本当?鈴木君を保護したの?」
「宮崎も捕まえたから安心して良い。鈴木君はお義父さんの病院に運ばれた」
変な薬飲まされてたから・・・。
保護されたという事は最悪な事態にはならなかったんだよね?
「藤咲君。よかったね。鈴木君が保護されたんだよ」
直の声に僕と心翔は少し離れて正臣の方を見た。
正臣はソファから立ち上がり深々と僕達に頭を下げていた。
「藤咲、車用意してあるから病院に行こう」
「ありがとう。でもこれ以上迷惑はかけれないから久登には俺1人で会いに行くよ」
「迷惑?違うだろ。知り合いが困ってたんだ。迷惑なんて思わない。皆んなで病院に行くよ」
心翔はそう言って正臣に笑いかけた。
前よりも少しだけ心翔は正臣を許せたのかな?
僕は心翔を見てそう感じた。
それから皆んなで病院に行く用意をして車に乗り込んだ。
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