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第11話 監禁 Side久登

ずっと夢を見ていた。 正臣と出逢った時の事。 初めて正臣を好きだと気付いた時の葛藤。 そして僕を好きだと愛してると言ってくれた正臣の照れた笑顔。 きっと今までの事は全て夢で現実では無い。 そして、今も夢を見ているんだ。 まるで人形の様に扱われている。 ボロボロの人形。 けれど手に温もりを感じる。 誰かが悲しそうに僕の名前を呼んでいる。 そこに光が見える。 僕は必死にそれを掴もうと手を伸ばすと力強く握られて名前を呼ばれた。 「久登!」 僕の名前を呼ぶのは誰? ゆっくりと重たい瞼が開いて行った。 僕の頬に雫が落ちてくる。 「なか・・・・ないで・・・・・正臣」 「久登、久登!」 泣き腫らした目が痛々しくて頬にそっと触れようと手を伸ばそうとしたが激痛が走り動かせなくなった。

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