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第12話 監禁 Side久登

「ごめん・・・久登」 「ど・・・うし・・て・・・あやま・・る?」 何故か上手く話せない。 僕はスラスラと話しているつもりだがどうしても途切れ途切れになってしまう。 正臣は僕の伸ばそうとしていた手を両手で優しく握ってくれた。 それはまるで祈っている様に見える。 「久登、先生を呼ぶからな」 「せ・・・ん・・せい?」 「ここは、心翔君のお父様の病院だ」 久遠心翔君。 僕がここに居るって事は八坂優月が代わりに? それで僕は正臣の側に戻れたの? 宮崎は言っていた『ゆづのがいい』とそう聞こえたんだ。 八坂優月の事が気になるけど思う様に話ができないからもどかしかった。 それに正臣は僕に何度も謝るけど僕も正臣に謝りたかった。 正臣以外を受け入れてしまった事。 悔しくて悔しくて恐怖に負けてしまった僕は情けない。 正臣に握られた手には包帯が巻かれている。 それは手だけじゃないみたいで包帯の感触が皮膚に伝わる。 「よかった。目が覚めたんだね」 「聖先生と遥先生。ありがとうございます。」 髪型とか雰囲気は違うが2人はそっくりだった。 「兄は席が外せないから僕達2人が来たんだ。これからは2人で担当させてもらうからね。僕は久遠遥と言います。精神科医だよ」 「俺は久遠聖。内科医だ。名字で気づいたかと思うが俺達は心翔の兄です」 久遠君のお兄さん達。 じゃあ、優月君がどうしてるか分かるよね。 でも聞いてもいいんだろうか? 僕の代わりに捕まってこれ以上の事をされていたらと思うと怖くて自然と身体が震えていた。

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