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第3話 回復 Side正臣

久登は、目を覚ましたが後遺症なのか上手く話ができないでいる。 俺は久登に何もしてやれずただ優しく撫でたり抱き締めたりするしかなかった。 聖先生と遥先生の話だと身体は傷だけで体調には問題ないと言われた。 ただ精神的な負担が大きかったからそれで上手く声が出てこないかもしれないだかやなるべく不安にならない様にしてあげて欲しいと言われた。 優月は記憶を失ったと聞いている。 だから俺以上に必死になって色々としてくれていたんだよな優月。 「久登、何か食べたい物はないか?」 久登の好きな果物を買ってきても食欲が無いのか食べようとはしない。 食べたい物など聞いても首を横に振るだけ。 「久登、痛く無いか?」 「ない」 短い言葉なら普通に声を出せれるまでに回復して来ているが長い会話はまだ出来ない。 「今日も優月と心翔君が遊びに来てくれるみたいだ。何か食べたい物はあるかとメールが着てる」 「ない」 「そっか、ならそう伝えておくよ久登」 目を覚ました時はもう少し笑ってくれていたが最近は何か考え込むことが多くなり久登は全く笑わなくなってしまった。 どうしたら久登は前みたいに笑ってくれるんだ。

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