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第9話 回復 Side正臣
お説教が済んでひたすら謝られた。
そして気まずい久登と2人っきりの病室。
このまま気まずい雰囲気は嫌だから俺は意を決して久登に話しかけた。
「さっきのは、心翔君と心輝君の悪戯で決してそんな気は無くて・・・・・ごめん久登」
「・・・・・・」
久登は俺を見ないで横になりながら窓の外を眺めている。
話もしてくれないのか?
俺は久登に触れようと腕を伸ばしたが拒否をされるのが怖くて手を戻した。
「俺・・・帰るから久登」
この病室に今は居ない方が良いと判断して帰ると告げて椅子から立ち上がった。
「・・・・で・・正臣」
立ち上がり出口に向かおうとする腕を久登に掴まれ何か言われているが小さくて聞き取りにくかった。
「どうした?久登」
「帰らないで僕の側にいてよ正臣」
俺の方を涙目で見ながらそう訴える久登。
俺は掴まれている手を上から握りしめるとゆっくりと久登に近づいて唇に優しく触れるだけのキスを落とした。
怖がらせたく無くて唇にキスをするとかの行為は止めていたんだ。
けれどそれは間違いじゃ無いかと心翔君と心輝君に襲われて思ったんだ。
好きな相手にキスをされないと不安になるよな?
俺はきっと久登を知らず知らずに不安にさせていたんだと思う。
ごめん久登。
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