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第1話 バレンタイン
部屋のドアがノックされた。
「はい」
「あの優月君。相談があるんだ」
ドアの外で直の声が聞こえてくる。
僕は少しだけ勉強をしていた。
最近、色々とあり過ぎたから授業で分からない箇所とかあったりして復習をしていたんだ。
「どうしたの?直、入りなよ」
「うん」
直は胸にお菓子の雑誌を握りしめていた。
お菓子の雑誌?
なんか食べたい物があるから一緒にお店行こうとかの誘いかな?
でもそれは心輝と行くよね。
床に座るとテーブルの上に雑記を置いて何か言いたいけど言い出せなくて直はモジモジとしていた。
そんな姿を見かねて僕は直に聞いてみた。
「雑誌とか持ってきたから何か食べたいお菓子あるの?」
「うんとね。優月君は久遠君に手作りのチョコ渡すの?」
「へっ?チョコって?」
直はキョトンとした顔をして僕を見つめて来た。
僕は首を傾げて何かなと考え込んだ。
手作りのチョコ?
あっ、2月14日は来週じゃないか?
「ごめん直。バレンタインを言ってるだよね。僕はすっかり忘れてたよ」
「そうなの?じゃあ、一緒に手作りのチョコにする?」
僕は料理は不得意だけどお菓子作りなら出来るかな?
直もいるから大丈夫だよね。
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