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第6話 バレンタイン

「ブラウニーも焼けてトリュフも出来たから後はラッピングだね」 直がブラウニーケーキを切り分けながら楽しそうに僕と久登君に言ってきた。 本当に嬉しそうな顔をする。 「うんそうだね。心翔は黄色が好きだから黄色系のラッピングで心輝は青で正臣は赤だよね」 「正臣は表に出さないけど赤が好きなんだよ」 「なんとなく分かる気もする。クールに見えるけど胸の内は熱いよね」 「うん」 久登君がラッピングのリボンを箱に結びながら照れ笑いをした。 「やっぱり、久登君は笑うと可愛いよね。気をつけてね」 「気をつける?」 僕の脳裏に浮かんだのは・・・・・・・・。 「ただいまぁ〜」 キッチンのドアを勢いよく開けて帰って来たのは桃お姉様だった。 この人には気をつけてねと言いたかったが遅かった。 「あらっ、久登君じゃない。明日は正臣君とデートするの?だったら可愛くなりたくない?」 「可愛く?」 「そうよ。可愛くなりたいわよね」 久登の頭にはまたもやハテナがたくさん出ている。 早く止めなきゃ!!!!!! 大変な事になりそうだもん。

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