723 / 903
第16話 バレンタイン
「俺は男なんて興味ないんだ。どけよ!」
「あんた、犯罪だよ。未成年に手を出したろ?」
「なっ・・・・・・」
確かに未成年で合意の上での行為では無い。
キスをされてたらそれ以上の事もするかもしれないと連想はさせる。
「心翔・・・ごめん。僕が・・・ごめん」
「黙ってろ」
冷たく言い放たれた言葉に僕の胸は張り裂けそうでこの場所から居なくなりたかった。
優ちゃんとも呼んでくれない心翔。
謝っても許して貰えない。
「どうしてお前が怒るんだよ。本人は泣いて謝ってるんだぞ!おかしくないか?」
「はぁ?恋人に、手を出されたら怒るだろう?」
「恋人?」
えっ?
僕の事を恋人って言ったの?
「心翔、もう行こうよ」
僕は慌て心翔の腕を引っ張るけど振りほどかれてしまった。
「男同士なのに?」
「バラしたければどうぞご勝手に俺は平気だが犯罪よりましだろ?」
「何が言いたい?」
「写メと動画と防犯カメラの映像」
写メ?
動画とかいつ撮ったの?
「分かった。誰にも言わないし謝る。ごめん。男でも可愛かったから魔がさした」
「どうする?優ちゃん」
さっき迄、冷たい目をしていた心翔が僕を見て優しく笑いかけてくれる。
僕はどうするとか言えない。
けれど心翔が僕を許してくれるかそれだけが心配だった。
「心翔は、僕の事を怒ってないの?」
「怒ってるよ。お仕置きは後でするから待ってろ優ちゃん」
「お・・・お仕置きって・・・・痛い?」
僕の頭に浮かぶお仕置きはナイフで切りつけられたり殴られたりする類のものだ。
ともだちにシェアしよう!