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第6話 バレンタイン Side直
耳に山田さんの荒くて熱い息がかかる。
「ううっ・・・やめ・・・・・やぁっ!!!!!」
「しぃ〜っ。いくら人通りが少なくても大きな声出したら誰か来ちゃうよ。こんな所を見られたく無いだろ?」
鏡に映る僕の顔は良く見えないが泣き顔をしていて後ろから男性に抱きしめられている。
この状況だと犯されている?
そんな風に見えても仕方が無いような状況だった。
心輝以外に触れられるなんて嫌だ。
でも他の人にこの状況も見られたくない。
そのうち僕が抵抗しないと分かると山田さんが耳に舌を這わせながらクスクスと笑っている。
「いい子だ。気持ちよくなる事だけ考えて直君」
「ふっ・・・やぁっ・・め・・・・・」
やめて・・・助けて心輝。
「ひくっ・・・心輝・・・・・きてよ」
「待ち人?来なかったよね。直君は捨てられたんだよ恋人にね」
「えっ?」
「普通、あんな寒い中何時間も待っていたら友達とかじゃ無いでしょう?でもその顔は当たりだね。恋人は心輝って言うの?今頃、僕達みたいに違う相手といい事してるよ」
山田さんが鏡越しに僕を見て微笑した。
その笑いは冷たい目をして微かに唇の端が上がる感じで本当に冷たい感じだった。
さっき優しく声を掛けてくれた山田さんとはまるで別人に見えた。
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