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第1話 バレンタイン Side久登
いつもの様に僕は正臣の屋敷に来ていた。
「鈴木様。正臣様がお部屋でお待ちです。こちらへどうぞ」
「ありがとうございます」
執事の方が僕を屋敷内へと入れてくれる。
普通に来客なら正臣の返事が無い限り部屋には通して貰えないが僕は勝手に部屋に入ってもいい事になっているから執事の方も正臣に報告には行かない。
部屋以外に正臣がいる時だけ執事の方が案内してくれる。
勝手に入っても良いが一応マナーとして正臣の返事があってから部屋へは入る様にしている。
「正臣、いるの?」
「入れよ。久登」
僕は正臣の返事を確認してから部屋のドアを開けるとソファに座り紅茶を飲みながら本を読んでいる正臣の姿が目に入った。
うわぁ〜。
かっこいいなぁ〜。
「何してる?ドアを閉めてこっちに座れよ久登」
「あっ。うん」
ヤバイ。
カッコよすぎてつい見惚れてしまっていた。
僕は慌てて部屋の中に入り正臣の隣に静かに腰を下ろした。
本を読む正臣の姿が本当にカッコ良くて目が離せないよ。
あっ、でもいつもカッコ良いんだよ。
「あんまり見つめないでくれ久登」
「へっ?あっ・・・ごめんなさい」
正臣が本にしおりを挟みパタリと閉じるとテーブルの上に置いてしまった。
読書の邪魔しちゃった。
僕は正臣の邪魔にならない様にしたいのにいつも何かしている正臣の手を止めてしまう。
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