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第10話 バレンタイン Side久登

ブラウニーケーキは食べたけれどトリュフは食べてなかった? 食べて欲しかったのはトリュフだったのに正臣はそのまま部屋にある冷蔵庫に片付けると言った。 「正臣、食べないの?」 「久登が作ってけれたんだ。ゆっくり味わいたい」 「うん・・・・・」 少しだけガッカリした顔をしていると正臣は1つだけトリュフを口の中に入れた。 「久登、美味しい。ありがとう。」 「本当!」 僕は嬉しくて正臣の首に抱きついてギュッとすると正臣は背中をトントンとリズムよく叩いてくれた。 嬉しい。 正臣に褒めてもらえたから僕は泣きそう。 ずっと好きでバレンタインのチョコレートなんて男に渡すなんておかしいよなとか付き合う前は考えていた。 直や優月君のお陰で僕の大切な人、正臣にチョコレートを渡せている。 「後は、冷蔵庫行きだ」 「うん。食べてくれてありがとう」 「来年は、洋酒が入ってないチョコレートを渡さないとな久登」 何かを思い出したかの様にクックッと声を堪えて正臣は笑っていた。 「僕もチョコレートボンボンは懲りたから来年はノーマルなチョコレートを下さい」 「分かった」 短い返事だったけれど正臣が照れ隠しに、わざとしたともう少し後になってから僕は知った。

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