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第16話 もう少しで
「本当に2人は噂以上に仲良しですよね」
心翔が僕を離してくれた時に天月さんが下を向いたままそう言った。
「噂って?天月さん」
「知らないの?優月君があの心翔の彼女じゃないかって噂だよ。女の子を寄せ付けない為に彼女のフリをしてると言う話だよ」
僕はそれを聞いて身体が固まってしまい何も言葉が思い浮かばなかった。
「噂だろ?まだそんな噂があったんだ」
「心翔は知ってたの?」
「そうだな、告白をされる時に聞かれたこともあったから知ってた」
前にそんな話を聞いたこともあるけどその話は解決したと思っていた。
思っていたのは僕だけ?
「彼女のフリをしてるんじゃなくて、付き合ってるとか?」
「えっ?」
「僕ね。心翔君に告白してフラれたんだ。大切な人を泣かせたくないからごめんと言われた。それって優月君じゃない?」
「そうなんだ。僕は幼馴染みで親友だよ」
どう答えたら良いか分からなくて無意識に出た言葉だった。
凄く動揺していた。
周りには気付かれないように注意をして学校生活をおくってきたんだ。
「ふぅ〜ん。そうは見えないし僕は男だよ。男の心翔君に告白したって言ったら気持ち悪いとか思わないわけ?」
「それは・・・・・・・」
言葉が出ない。
どう答えても天月さんは絶対いろんな事を言ってくるはずだ。
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