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第21話 もう少しで
それから、天月さんが橘さんにベタベタとしているのを昼休みが終わるギリギリまで見せつけられていた。
クラスの皆んなは、気づいてないフリと言うか関係無いからという空気感だった。
それが何故だか僕は譲君と茜ちゃんから聞かされた。
心輝は隣のクラスだけど同じ学年だから聞いたかもしれないけど流石に本人の前では言えないだろうと譲君が言った。
「橘さんは男が好きだって以前噂があったんだよ。で、2学期に橘さんは同じクラスの人に告白したんだ。断ったらしいけどそれから告白された人が先頭に立ってクラス中で嫌がらせしている」
「そんな・・・・・」
「私は、クラス中なら良いけど学校中って噂も聞いたわよ」
「酷い・・・」
それだけ同性を好きだって事が周りからは嫌悪感があるんだよね。
僕と心翔はその話を聞いて考え方がやはり甘かったのかと思い知らされた。
覚悟はしていたが実際こんなに受け入れてもらえないなんて悲しい気持ちで一杯になった。
「多分、天月さんだっけ?あの人はお前達と仲良くしてると周りに思わせれば橘さんの嫌がらせが収まるんじゃないかって考えたのかもしれないな」
「どうして?」
「学校の2番。宇佐さんが居るんだから安易に手出しは出来なくなる」
「そうなの?」
「俺だったら止めるかな?それ以前に嫌がらせはしない。茜ちゃんは仲良くなりたがりそう」
隣で茜ちゃんはウンウンと頷いていた。
僕達と仲良くしていて嫌がらせが無くなるなら昼休みは一緒でも良いかと思った。
多分この時、心翔も同じ事を考えていたと思う。
あと少しでウサちゃんが卒業だけどその後は大丈夫なんだろうか?
それだけが心配だった。
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