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第3話 もう少しで Side使颯
どの位時間が経ったのかな?
恐る恐る耳から手を放すと何も聞こえなくてグラウンドで部活をしている人達の声が遠くで聞こえて位だった。
僕はゆっくりと立ち上がり教室の扉の前で暫く様子を伺っていたが何も聞こえてこない安心して教室の扉を開けた。
「あっ・・・・・・・」
「・・・・・」
誰も居ないと思って扉を開けると制服がグチャグチャになり口の端は少しだけ血で滲んでいる男子生徒が教室の前を通るところだった。
「だっ・・・だいじょうぶ?」
とっさに話しかけてしまったが僕はきっと声が震えていたのだと思う。
いや間違いなく震えていた。
だって僕の手が身体がこんなにも震えているのだから・・・。
「あっ・・・うん。平気だよ。ありがとう・・テッ・・・」
男子生徒が笑おうとしたけれど口の端が切れていたのかうまく笑えなくて痛みに顔を歪めた。
僕は無意識にポケットの中からハンカチを出してその切れた口の端に当てていた。
「優しいね。でも俺に関わらない方が良いよ。ハンカチ、汚してごめんな・・・」
「ハンカチくらい気にしないで・・・それに僕は優しくないよ」
優しくなんかないんだ。
ただ扉を開けたら男子生徒がいて口の端が切れていたからハンカチを当てただけ僕に勇気があればこの男子生徒はココまで酷い姿にはなっていなかったかもしれない。
僕の悪夢が無かったら・・・・・・。
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