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第2話 卒業
僕がボンヤリと考え事をしていると隣に座っていた心翔が鼻をつまんで来た。
「なぁ・・・・・やっ!」
「何を考えてんだ優ちゃん」
心翔の手を退けようとしたけれど掴まれてしまった。
それで首を横に振ったりして鼻から手を退けて欲しいと意思表示をしたがなかなか離してくれなかった。
抵抗する気もなくなりそのままにしていたら今度はきつく抱き締められた。
「何?心翔、なんか変だよ」
「そうか?優ちゃんが宇佐先輩達と旅行に行く話をしてるのに上の空だからだ」
「あっ・・・うん。ごめん、なんか1年て早いなって考えてた」
「そうだな、明日で宇佐先輩が卒業してしまうんだなって思うよ」
僕は心翔の背中に腕を回して肩に額を当てた。
ずっとみんなで一緒にお昼を食べていたのにウサちゃんが居なくなってしまう。
遠くに行くわけじゃないから会う事は出来るけれど学校に居ないと思うと凄く寂しい。
「俺達よりも冬空が寂しいと思うんだけど優ちゃん。隣の家だからって言ってたけど少しだけ寂しそうにしてる感じだったんだ」
「そうだよね。冬空君が1番寂しいよね。僕が冬空君なら耐えれないかもしれない」
「可愛い事、言ってくれるよね。もしかして煽ってる?」
「なっ!違うよ。もう離れてよ。直と心輝が来ちゃうよ」
僕は回していた腕を心翔の胸に当てるとグイグイと押して離れてもらうように言った。
でもその腕を掴まれてそのまま唇を重ねられてしまった。
「ううッ・・・はな・・れ・・・・・やっ・・・」
唇から割って心翔の舌が入って来て僕の舌に絡めてくる。
本当にもうスグ直達が来ちゃうのに抵抗しないとダメなのに上手く力が入らないよ。
心翔のキスは蕩けてしまうくらいに気持ちがいい。
何も考えれなくなり僕は応えるように舌を絡めていた。
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