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第9話 卒業

時間が来たから体育館へ移動する。 朝から冬空君は笑って話をていたけれど1人になると表情が曇ってしまう。 いつもクールで表情が変わらないけれど今日の様子はおかしいと思うんだ。 あまり笑わない冬空君がニコやかに会話をしている。 きっとウサちゃんの事を考えないようにしているんだと思う。 やっぱり寂しいよね。 僕には少しだけ冬空君の気持ちが分かる。 だって心翔が僕の前から姿を消した日、僕の世界から色が無くなったようだった。 キラキラと綺麗な明るい色が一瞬で黒くてドロドロした様な世界になったんだ。 それから僕は暗闇の中で生きてきた。 今は皆んなと過ごして心翔以外の色が僕の世界に広がり始めていてどの色もみんな違うんだよ。 式の間、僕はそんな事を考えていた。 終わりに近づいて来ると泣く声が聞こえてくる。 卒業式はお別れという印象だけど悲しい事じゃないんだと思うそれは、これから新しく何かを始める事に繋がるからだ。

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